建築費だけで投資案を比較してはいけない理由
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「採用サイトと実際の職場が一致しているか」では、採用で発信している会社像と、実際の職場環境にズレがないかを考えました。
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採用サイトと実際の職場が一致しているか
建物は、単に仕事をする場所ではなく、社員の働き方や顧客からの印象、採用候補者が会社をどう感じるかにも影響します。
つまり、建築への投資は「建物を取得するための費用」だけでは評価できません。
今回は、新築、改修、移転などの投資案を比較するときに、なぜ建築費だけを見て判断してはいけないのかを考えます。

代表取締役
一級建築士 山野井 康明
Contents
| 「安い案」が、本当に安いとは限らない
建築計画で複数案を比較するとき、最も分かりやすい数字は工事費です。
A案は1億円。
B案は1億2,000万円。
この2案だけを見ると、A案の方が2,000万円安いため、経営上も有利に見えます。
しかし、完成後の使い方まで考えると、結果が逆転することがあります。
例えばA案では、
- 社員の移動距離が長い
- 商品や材料を運ぶ回数が多い
- 光熱費が高い
- 数年後に増築が必要になるかもしれない
- 設備更新がしにくい
一方、B案では初期投資は大きくても、日々の業務効率が良く、維持費を抑えられ、将来の増築にも対応できるかもしれません。
建築費は一度支払う大きな費用です。
しかし、建物はその後何年、場合によっては何十年も使います。
だからこそ、最初の金額だけで比較しないことが重要です。
| 建築費と「総事業費」は違う
まず分けて考えたいのが、建築費と総事業費です。
建物本体の工事費以外にも、プロジェクトにはさまざまな費用が発生します。
- 土地取得費
- 造成や外構工事
- 既存建物の解体
- 地盤改良
- 設計・監理料
- 測量や地盤調査
- 各種申請費用
- 家具や什器
- 生産設備や機械
- 引っ越し費用
- 仮事務所や仮店舗の費用
- 金融機関からの借入に伴う費用
- 予備費
建物本体の価格が安くても、造成や解体に大きな費用が必要であれば、総事業費では高くなることがあります。
土地を比較する場合も同じです。
土地価格だけを比較するのではなく、そこで事業を開始するまでにいくら必要なのかを見る必要があります。
| 完成後に毎年かかるコストも考える
建物が完成した後にも、費用は発生し続けます。
例えば、
- 電気・ガス・水道料金
- 建物の修繕費
- 設備の保守費用
- 清掃費
- 固定資産税
- 保険料
- 賃貸の場合は賃料
- 更新や設備交換にかかる費用
初期投資を抑えるために設備性能を下げた結果、その後の光熱費が高くなる場合もあります。
逆に、初期費用を少し増やして省エネルギー性能やメンテナンス性を高めることで、長期的な費用を抑えられることもあります。
建築投資を比較するときは、
「完成までにいくらかかるか」だけでなく、「使い続けるためにいくらかかるか」
という視点も必要です。
| 業務効率もコストの一部
会計上は建築費に含まれませんが、職場の使い方によって発生する人件費も見逃せません。
例えば工場で、材料を運ぶために社員が毎日長い距離を往復している。
事務所で、頻繁に連携する部署が離れている。
倉庫が分散し、必要な物を探す時間が多い。
一回の移動は数分かもしれません。
しかし、それを複数の社員が毎日繰り返せば、年間では大きな時間になります。
建築費を数百万円削減できたとしても、その結果として毎年業務ロスが発生するのであれば、本当に経済的な計画だったのかを考える必要があります。
| 将来の追加投資まで含めて比較する
もう一つ重要なのが、将来の変化です。
現在の人数や設備だけに合わせて最小限の建物をつくれば、初期投資は抑えられます。
しかし、数年後に社員が増え、すぐ増築が必要になれば、結果的に費用が大きくなることがあります。
反対に、将来必要になるか分からない面積を最初からすべてつくれば、過剰投資になる可能性があります。
そこで考えたいのが、
「今つくるもの」と「将来つくりやすくしておくもの」を分けることです。
例えば、
- 将来増築できる場所を残す
- 間仕切りを変更しやすくする
- 設備増設を想定して配管や電源を計画する
- 別用途に変更しやすい空間にする
こうした工夫によって、現在の投資額を抑えながら将来の選択肢を残せます。
| 金額だけでなく「何が得られるか」を比較する
投資案を比較するときは、費用だけではなく、それぞれの案によって何が変わるのかを並べて考えることが大切です。
例えば、
A案
既存建物を部分改修する
- 初期投資:小さい
- 工期:短い
- 現在の課題:一部改善
- 将来拡張:限定的
- 事業への影響:小さい
B案
現在地で増築する
- 初期投資:中程度
- 工期:中程度
- 現在の課題:大きく改善
- 将来拡張:一定の余地あり
- 事業への影響:工事中の調整が必要
C案
移転して新築する
- 初期投資:大きい
- 工期:長い
- 現在の課題:抜本的に改善可能
- 将来拡張:計画に織り込める
- 事業への影響:移転計画が必要
このように整理すると、「一番安い案」ではなく、「会社にとって最も効果の高い案」を考えやすくなります。
| YADOが投資案を比較するときに考えること
YADOでは、建築計画を比較するとき、工事費だけを並べるのではなく、できる限り事業全体への影響を整理します。
- 初期の総事業費
- 完成までの期間
- 工事中の事業への影響
- 日常業務の効率
- 維持管理にかかる負担
- 将来の増築や用途変更
- 採用や顧客体験への影響
- 会社の成長に対応できる期間
もちろん、すべてを正確に金額へ置き換えられるわけではありません。
それでも、何を比較して経営判断するのかを明確にすることで、単純な工事費比較とは違った見え方になります。
建築投資を「いくらで建てられるか」ではなく、
「その投資によって、会社にどのような価値が残るのか」
という視点で考えることが重要です。
| まとめ
建築投資では、数千万円、数億円という大きな金額が動きます。
そのため、少しでも工事費を抑えたいと考えるのは自然なことです。
しかし、建築費だけを比較すると、長期的には高い選択をしてしまうことがあります。
比較したいのは、
- 建築費
- 総事業費
- 維持管理費
- 業務効率への影響
- 将来必要になる追加投資
- 事業の成長への対応力
です。
「いくら安く建てられるか」だけではなく、
「その投資が会社に何をもたらすか」で比較する。
建築は、完成した瞬間に終わる投資ではありません。
その後、長い期間にわたって会社の経営を支える資産になります。
YADOは、建物の価格だけではなく、その先にある経営への影響まで見ながら、建築投資の選択肢を一緒に考えていきます。
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近年の物価高騰の煽りを受け、さらには人件費も上がり、安く作るが難しくなってきています。
だからこそ、コスパが良い最適な建築投資が何なのかを慎重に考える必要があります。
建築投資が利益をもたらす重要な役割を果たせるために、まずは、ご自身の会社の5年後に向けて、どのような目標を立てクリアさせる方法から共に考えましょう。