2026.07.24

建てる、借りる、改修する。何を基準に選ぶべきか

「良い建物をつくる前に、良いプロジェクトをつくる」シリーズでは、建築予算を先に固定し、その金額に建物を合わせるのではなく、初期建築プランと概算事業費を整理してから予算を決めることの重要性をお伝えしました。

良いプロジェクトのつくり方はコチラ
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良い建物をつくる前に、良いプロジェクトをつくる①
良い建物をつくる前に、良いプロジェクトをつくる②
良い建物をつくる前に、良いプロジェクトをつくる③

ただし、建築計画を検討する目的は、新しい建物を建てることだけではありません。

会社が抱えている課題によっては、現在の建物を改修する方法や、賃貸物件へ移転する方法の方が適していることもあります。

今回は、「建てる」「借りる」「改修する」という選択肢を、何を基準に比較すればよいのかを考えます。

 株式会社YADO一級建築士事務所
 代表取締役
 一級建築士 山野井 康明

| 最初から新築と決める必要はない

事務所や工場が手狭になったり、建物の老朽化が気になったりすると、建て替えや移転を考え始めます。

しかし、建物に関する問題が出てきたからといって、必ずしも新築が最適とは限りません。

選択肢には、主に次のようなものがあります。

  • 所有する土地に新築する
  • 土地を購入して新築する
  • 賃貸物件へ移転する
  • 中古建物を購入して改修する
  • 現在の建物を改修する
  • 現在の建物を増築する
  • 運用方法やレイアウトだけを見直す

大切なのは、建物をどうするかではなく、会社が実現したいことに対して、どの方法が適しているかを考えることです。

◆判断基準1 何年先まで使うのか

最初に考えたいのは、その場所を何年間使用する予定なのかという点です。

今後の事業規模や人員数がまだ見通せない場合、長期的な建築投資が負担になる可能性があります。そのようなときは、まず賃貸物件を利用し、事業の成長を確認してから新築を検討する方法もあります。

一方で、現在地で長期間事業を続ける方針が明確であれば、新築や既存建物への投資を検討しやすくなります。
現在必要な広さだけではなく、5年後、10年後の事業をどこまで想定できるかが重要です。

◆判断基準2 事業に必要な特殊性はあるか

一般的な事務所であれば、賃貸物件でも対応できることがあります。
しかし、工場、整備工場、研究施設、食品加工施設などでは、事業に合わせた設備や動線が必要です。

例えば、次のような条件があります。

  • 大型機械や特殊設備を設置する
  • 車両や材料の搬入経路が必要
  • 大きな電力や給排水設備を使用する
  • 音、振動、臭気への対応が必要
  • 将来の設備更新や増設を予定している

事業固有の条件が多いほど、既存物件では対応が難しくなり、新築や大規模改修が適している可能性が高くなります。

反対に、建物に求める特殊性が少なければ、賃貸という選択肢も有効です。

◆判断基準3 初期費用だけで比較していないか

新築、賃貸、改修を比較するとき、最初に必要な金額だけを見てしまいがちです。
しかし、建物にかかる費用は、初期投資だけではありません。

|新築の場合

土地取得費、建築工事費、設計料、外構費、各種調査費などが必要です。

初期投資は大きくなりますが、事業に合わせた建物を計画でき、長期間使用できる可能性があります。

|賃貸の場合

初期費用を抑えやすく、事業の変化に応じて移転しやすいことが利点です。

一方で、賃料を継続して支払う必要があり、改修できる範囲にも制限があります。

|改修の場合

既存建物を活用できれば、新築より投資を抑えられることがあります。

ただし、建物の状態によっては、耐震、断熱、設備更新などに想定以上の費用がかかる場合があります。

初期費用だけでなく、維持管理費、賃料、修繕費、光熱費、将来の再投資まで含めて比較することが大切です。

◆判断基準4 事業をいつ始めたいのか

建物を使用したい時期も、選択肢を決める大切な条件です。
新築では、土地の調査、設計、行政協議、施工など、実は想像以上に地味に時間がかかります。

一方、条件に合う賃貸物件が見つかれば、比較的早く事業を始められる可能性があります。
既存建物の改修も、工事内容によっては新築より短期間で完成できますが、建物調査の結果によって計画が変わることがあります。

新規事業の開始時期や設備の導入時期から逆算し、選択肢ごとのスケジュールを比較する必要があります。

◆判断基準5 現在の建物に改善の余地があるか

現在の建物が使いにくいからといって、建物自体が使えないとは限りません。
問題の原因が、レイアウトや運用方法にある場合もあります。

  • 部門の配置を変える
  • 収納場所をまとめる
  • 人と物の動線を分ける
  • 使用頻度の低い部屋を別の用途に変える
  • 一部だけを増築する

こうした工夫で、建物を継続して使える場合があります。
新築や移転を考える前に、現在の建物をどこまで活用できるかを調査することも重要です。

事業をスタートさせた当時から、少しずつ事業内容が進化するケースがあります。
その事業内容の進化に、ハコが建設当初のままでは、事業拡大の足枷になることも・・・

選択肢を同じ条件で比較する

建てる、借りる、改修するという選択肢を比較する際には、それぞれ別々に検討するのではなく、同じ条件を並べて確認します。

比較したい主な項目は、次のとおりです。

  • 初期投資額
  • 毎月または毎年発生する費用
  • 事業開始までの期間
  • 必要な機能を実現できるか
  • 将来の人員増加や設備更新への対応
  • 移転や売却のしやすさ
  • 事業を止める期間
  • 建物が企業イメージに与える影響

複数案について、簡単なプランと概算事業費を作成すると、言葉だけでは分からなかった違いが見えてきます。

| まとめ

新築、賃貸、改修のどれが優れているかは、会社によって異なります。

・長く使用することを前提に、事業独自の機能を求めるのであれば、新築が適しているかもしれません。
・事業の将来がまだ不確定で、早く拠点を確保したいのであれば、賃貸が有効な場合もあります。
・現在の建物に活用できる部分が残っていれば、改修や増築によって投資を抑えられる可能性もあります。

大切なのは、最初から方法を決めることではありません。

YADOでは、新築を前提とせず、賃貸、改修、増築、移転を含めた初期計画と概算事業費を整理し、経営者が判断するための材料をつくります。

建物を選ぶ前に、会社にとって適切な方法を選ぶ。
それが、良いプロジェクトをつくる次のステップです。


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新築、賃貸、改修、増築、移転、その他、どの選択が御社の経営課題を解決できるのか、無料で診断いたします。

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